I don’t give a damn

Gone With The Wind

 映画 「風と共に去りぬ」 大詰めの台詞。結構有名なんですよねー。 Frankly my dear, I don’t give a damn. 全然気にしてないよという意味です。画面からすると、「今更どうでもいいよ」といったところでしょうか。それにしても、 Clark Gable が言うこの台詞はかっこいいですねー。私は、この映画を10回以上見ています。最初に見たのは高校生頃でした。長い映画の割には飽きなかったのを覚えています。でも、何が何だかよく分からなかったんですよ。というわけで、再び見ることになりました。2回目は全体のストリーが把握できて、いい映画だなーということで、時間が経ってからまた見ました。古い映画なのに結構 spectacular だと、またまた感心し、という具合に何度も見ました。

 今回はこの映画についてです。この映画の見所とか魅力について、今更、私が語るというものでは決してございません。

お爺さんも見て、お父さんも見て、僕も見る

#html {アメリカの田舎町の映画館で、この映画がかかったことがありました。たまには、古い映画もいいかとのこのこ出掛けていきました。
小さい劇場でしたが、満席でした。あちこちには、家族づれできていて、親子3代にわたって同じ映画を鑑賞するというのが、珍しい光景でした。親子連れは、子供映画ではよく見かけますが、大人向けでは見かけた記憶があまりありません。それにつけても、親子3代が観賞するというのはすごいことですね。U.S.A. という国の財産的存在なんだとよく理解できました。日本映画でも親子が何代にも渡って観賞したいような作品があるかもしれませんが、すぐにはタイトルが出てきません。さすが、映画の国アメリカですね。南北戦争(Civil War 内乱のこと)をテーマにした作品も多いですが、これは特別なようです。舞台となった場所の一つである Georgia 州 の Atlanta 市の郊外には、当時のプランテーションを再現した観光スポットがいくつかあるようです。
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Tara という Plantation は実在しません

 映画の舞台となった plantation に名付けられた Tara とは、アイルランドにある丘の名称です。首都ダブリンに近いところだそうです。ここは、アイルランドの歴史に非常に大切な場所だと説明されています。映画の中でも、父親はアイルランドから来たことを誇りにしています。そのことを示すためにも Tara という名前にこだわったのでしょう。土地にこそ価値があると言い聞かせる父親に Scarlett はうんざりしていました。しかし、映画の前半が終わる頃には、その意味を理解し、無理を承知で Tara へ帰って行きました。
アイルランド系というと気が短いということもあります。この辺のことは、日本語になった本の解説にでもあれば、丁寧に読んだ人には、父親が短気を起こして、落馬して死んでしまうという話に繋がることに納得することでしょう。Irish temper という言葉があります。

南部訛り Southern Accent

 小説の原作者 Margaret Mitchell は、アトランタ生まれの人で、南部訛りがかなり強烈な人だったようです。Margaret Mitchell の番組を TV で見ていたとき、インタビューでは、彼女が話し始めると画面の下には英語で字幕 subtitle が出ていました。かなり強烈でアメリカ人でも聞き取れない人がいたからかもしれません。私は聞き取れるどころの話ではありませんから、サブタイトルは大変ありがたかったです。
この特徴ある南部訛りは YouTube で確認することができます。南部訛りに興味がある方は YouTube で southern accent と検索すれば、続々と出てきます。アメリカの南部といっても広大な地域ですから、その中でもいろいろと微妙な違いがあるようです。どうして南部訛りが生まれたかは知りませんが、少し英語に慣れてくると、聞いているうちにこの人は南部訛りがあるというのが分かることがあります。
このビデオは南部訛りを窺い知ることができます。Fiddler の Carson Peters は Tennessee 州の出身で、すでにカントリーミュージックのスターです。

 映画の中でも、黒人の英語などとともに南部訛りが聞けます。はっきりしているのは、アトランタにシャーマン William Sherman 将軍の北軍が迫って、メラニーと赤ん坊を連れて逃げなければならないシーンで、レットバトラーに助けを求めるため、メイドのプリシーを向かわせたときに、レットといるベル Belle Waiting という女性がそうです。アクセントの強い人も弱い人もいろいろいるでしょうから映画の中ではその辺も考慮されているのかもしれません。
こんな風に南部訛りというのが存在するんだと気がついてみたとき、そういえば Tara の住人も、Scarlett も南部訛りなどまるでないかのように聞こえて、どうしてだろうと思いました。Scarlett を演じた Vivien Leigh はイギリス人でしたが、むろん Queens English でやっていたわけではないし、物語の設定では、父親はアイルランドからの移民、母親はフランス系ということ、さらに plantation の持ち主となれば上流階級ですから、それら全部を考え合わせると映画の中で使われている言葉遣いが正しいのでしょう。何よりも監督が、その辺まできちっと調べてのことでしょうからね。

Damn は原則汚い言葉です

 Damn! 「畜生」とか「頭にきた」なんていうときに使うことが多いようです。いわゆる間投詞ですね。しかし、 very をさらに強調したいとき damn cold (めちゃ寒い)などや、相手を罵倒するときの Damn you! など、どうも汚い言葉なようですね。これはうまいやとか良いという表現で Damn good など褒めるときにも使いますが、汚いことには変わりはありませんので、仲間内でないときは控えた方がよさそうです。I don’t give a damn は、give a damn (気に掛ける)という idiom ですから、俗語表現ですがふつうに使われることが多いかもしれません。どうでもいいよ、というときはこんな言い方で気取ってみるのも、ちょっと楽しいかもしれませんね。

似たような表現もあります

 「どうでもいいよ、気にしてない」というときの似たような表現はいろいろあるでしょうね。例えば、 I dont’t care (abour it).  とか It’s not my problem. や It’s your problem. なんかが近いかもしれません。しかし、”No problem!” と単体で使用すると「そんなの簡単で、問題ねーよ」と意味が変わります。両方の違いを理解して、ごっちゃにしないでくださいね。ちょっとぶっきらぼうな言い方ですが、Who cares? はよく聞きますね。It doesn’t matter (to me). なんてのもありです。

それにしても良い映画です

 この映画は、何度も見る内に、自分の成長に合わせて見えるところが変わってきました。社会人になってから見たときには、それまでの spectacular な部分だけでなく、男女の愛の機微というか、そういったところも描かれていて、改めてファンになりました。後半で、無理矢理 Scarlett を二階へ運んでいく場面や、階段で Rhett Butler が撲とうとする Scarlett を避けて、彼女が階段を転げ落ちるシーンなどはよくできていると感心したものです。アトランタから脱出するときのシーンで、大きな建物が炎上して崩れるシーンは、取り直しなしの一発勝負だったそうです。
何度ぶちのめされても、明日には明日の風が吹くと自分に言い聞かせて立ち直っていく positive thinking は、アメリカ人が大好きな姿ですね。
戦後日本で公開され大ヒットしたとき、アメリカのあるジャーナリストは、日本の敗戦と再建にかける意気込みを合わせて見ているのではと評価したと聞いたことがあります。

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