discriminate 本来の意味では、物や人の間に違いがあることを認識する、区別するということです。しかし、discrimination の第一義としては、ある特定の人やグループに対して公正な取り扱いをしないという意味で使われることが多いようです。つまりは、差別それも人種差別のことを指すことが多いようです。U.S.A. では、時々人種差別が問題になり暴動が起きていますね。最近では、移民の流入が著しいヨーロッパの国々でも起きています。日本も例外ではありませんが、未だ欧米ほど激しくはないようです。現時点では、それほどの移民はなく、日本人が majority としてまだまだ大多数を占めているからでしょうか。
これを書いている時点でのアメリカ大統領は黒人系なのに、無防備な黒人を射殺したというニュースが時々あり、暴動に発展したりしています。肌の色が違う、顔つきも違う沢山の人々が構成する複雑な社会では minority への差別は避けて通れない問題なようです。これは誰でも知っている通り、今に始まったことではありません。ビデオは50年以上も昔に作られたミュージカル映画 West Side Story の中から、America という歌とダンスです。歌詞はここを見てください。(日本語訳はここ)この歌の中身は、今でも、そのままなんじゃないかなーと思っています。50年くらいでは何も変わらないというか、いかに根深いか分かるような気がするんですよねー。歌の中を見てみましょう。
スペイン語訛りの英語
大昔からずっと移民を受け入れてきたアメリカでのお話。プエルトリコからニューヨークに渡ってきた若者達が作るギャンググループが、白人のギャンググループと縄張り(territory)争いをしている話です。こちらはプエルトリコからのグループで、スペイン語なまり(Spanish accent )で話します。リーダーはベルナルド、その彼女がアニータ。女性達は新しい環境に柔軟性があるのに対し、男はどうしても弾力性に欠けるため、おもしろい対比ができています。
あすいません、最適な映像が見られなくなったため、次の部分は映像にありません。確認したい方は YouTube で West Side Story America で検索すると出てくるかもしれません。最悪の場合は、DVD で見てくださいね。
あ先ず、あいつ( Tony )は、Polack だと言えば、Spic が言っているわとやり返します。それぞれポーランド系とスペイン系を悪く言う言葉で、日本人の Jap に当たります。チ ノ(ベルナルドの子分)の稼ぎは、同じような仕事してても Polack の半分だぜ。Your mother’s a Pole, your father’s a Swede. But you were born here, you are an American. But us. Foreigners, Lice, Cockroaches. (あんたの母親はポーランド人、お父さんはスウェーデン人、アメリカ生まれで白人のあなたはアメリカ人。なのに私達には、よそ者だのシラミ、ゴキブリなん て陰で言ってる)。
歌が始まる前からい ろいろやり合ってる中で、Once an immigrant, always an immigrant. (移民根性は一生抜けない)。これは、移民に対してよく言われる馬鹿にした言い方です。 さらに、シャンプーの代わりに brain washed (洗脳)された。故郷を捨てて Now she is a queer for Uncle Sam. 今や、アンクルサムを信奉する変人だぜ。Uncle Sam (US) とはアメリカ合衆国のことですね。
credit card での買い物もいいわね。俺たちの顔を見たとたんに値段を倍にふっかけてきやがる。と、そんなことを織り交ぜながら、アメリカの生活がいいと言う女性陣 と、その揚げ足を取る形で批判する男性陣の掛け合いです。こんな話の歌が、延々と続きます。でも、こうした批判は今現在でも通じると思えるんですけど ね~。
例えば、ここには自由があるし、何にでもなれるわ(女性達)。フン、俺たちにはせいぜいウェイターか靴磨きってとこだぜ(男性陣)。アメリカでの生活はすばらしいわ(女性陣)、all white (100%混じりけなしの白人)ならね(男性陣)。アメリカは景気がいいわ(女性陣)、つったって、一部屋に12人も住んでんだぜ(男性陣)。外国から渡ってきたばかりの移民達は、倹約するために、狭いところに多人数で住んでいることがあるので、その例を引いてきたのでしょう。最後には、サンファンへ帰るぜ、(あんたが乗って帰る船をしってるわ)、みんな大歓迎してくれるぜ、(そうね、そしてその船に乗ってみんなここへ来るわよ)。R の音をはっきり発音するスペイン語訛りが聞けます (例: forget をフォルゲット)。Discrimination against the immigrant (移民への差別)を通してアメリカ社会の人種差別もチクリとやっています。
黒人差別を描いた映画は昔から多数あります
さて、アメリカ生まれのアメリカ市民にも関わらず差別されるとなると、建国以来の minority 黒人との関わり合いとなるようです。この偏見というか、差別はなくならないんでしょうね。学校では discrimination (人種差別)は悪いことだといくら教えていても、日本での学校におけるいじめ同様、根絶というわけにはいかないようです。アメリカの黒人差別を描いた映画には、まさに、枚挙にいとまが無いといえます。古いところでは有名なシドニーポワチエの「夜の大捜査線 In the heat of the night 」、最近では Help なんかがありますね。下はヘルプの予告編です。
この映画は大きな車がふつうに走っていた頃の良き時代のアメリカですが、人種差別もひどかった頃の話です。ここでは、southern accent (南部訛り)と当時の黒人の英語が聞けます。You is good など、学校で習った英語とは関係ない言葉が飛び交っています。私は、DVD の字幕を英語にして、聞き取れないハンディをカバーして見ました。
あでは、日系アメリカ人達 Japanese Americans はどうとらえているのでしょう。ある人は、人種差別は生活の一部として受け止めているとのことでした。もっとも、日系アメリカ人達は、自分たちを日本にいる日本人とは全く結びつけてなく、アメリカ人として自覚しているようです。多くの日系アメリカ人がアメリカ社会で活躍していて、時々メディアにもでてくるのを見るのも珍しくありませんよね。
Taxi drivers are racists in Japan とか
Discrimination と近い言葉に racism というのがあります。こちらは、人種差別主義というか、人種差別を良しとする考え方です。そういった主義主張をする人が racist ですね。discrimination は、女性の差別や特定のグループや信条、趣味、嗜好などを持つ人々にも使います。例えば、discrimination against smokers (喫煙者への差別)、discrimination against women (女性への差別)などです。女性を差別する人は male chauvinist という言い方もあります。発音はここを参考にしてください。くれぐれも、You are a racist. などと言われませんように、気をつけましょう。
話は変わりますが、知り合いのアメリカ人が Taxi drivers are racists in Japan. They wouldn’t stop for me. と怒っていました。アジア系アメリカ人が、それを聞いてクックックッと楽しそうでした。俺たちの気持ちが少しは分かったか、と言わんばかりの表情でした。日本ではまだまだ 白人=外国人ですからね、乗せると言葉をはじめ何かと面倒なので、敬遠する運転手さんもいるようです。discrimination against white people と息巻いていましたが、こんな言い方はあまり聞きませんけどね。
さて、人種差別の話はここまでにして
はじめに紹介したミュージカル映画 West Side Story は、現代版 ロミオとジュリエット として、ブロードウェイの舞台が大ヒットし、映画化に繋がりました。その中のナンバー America ですが、映画化に当たっては、歌の内容が全部書き換えられています。女性達だけで歌って踊るオリジナルの舞台公演とは全くの別物です。現在でも、舞台は時々日本公演がありますが、映画を見慣れている人にはちょっとびっくりします。歌の順序が舞台と映画では入れ替わっていたりするからです。私個人としては、 America については、映画の方が好きです。陰湿なイメージが強い人種差別について、こんなにはっきりと、しかも軽快に言いのけるところがすごいです。映画のダンスシーンはすばらしいですが、舞台でもダンスシーンは、映画に負けないくらい迫力があります。細々したしたことは、別に書ける機会があるといいですね。