Localize (localise 英)

Localize

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 ローカライズとは、物や事象を特定な場所に制限することです。例文は They hope to localize the infection. (感染を一部地域にとどめる)。一部地域に制限することが本来の意味合いだったようですが、コンピューターの世界では、ソフトウェアを現地に適合させることですよね。現地化することです。virtual もそうでしたが、IT の世界では何かと本来の意味とは少しずれたりすることもあるようです。しかし、日本では英語が IT の世界から入ってくることも多いので、localize (localise) といえば、いろいろな外国製品を日本で販売するために必要な変更を加えたりすることです。ローカルの仕様にすることですね。例えば、乗用車の場合、欧米の車を日本で販売する場合、右側にハンドルを移設する、排ガス規制に適合させるといったことが基本でしょうね。ハンドルの位置は好みで左側のままにしている人もいるかもしれません。内装にも変更を加えたりすることもあると思います。日本語の取説やマニュアルを用意することも localization の大事な作業ですね。日本向けの CM や広告の制作なども含まれるでしょう。もちろんモーターショーに出品する作業なんかもあるでしょうね。
話は違いますが、イタリアンのはずが、パスタのたらこスパゲッティ、さらには和風ピザなどは、立派な localized food ですよね。箸で食べさせるパスタ屋さんもあります。でも今回は、難い話は抜きで、楽しい localize を目指して go です。Scotland 民謡の Auld lang syne についても一言あります。

 Localize を大きく拡大解釈して歌の世界を見てみましょう。外国の歌を日本語にしたものを自分の偏見で集めてみました。名付けてローカライズ Best Five 

 栄光のベスト1は、イエローサブマリン音頭。

 ビートルズの歌をここまでやるとは••• チンドン屋も繰り出して、おこさ節やら軍艦マーチまで飛び出す有様。なり振りかまわぬ日本語化には敬意を表します。しかも、皮肉ではなく、L も R もない、見事なローカライズには頭が下がります。できれば、 Imagine や Come Together なんかも、自然な日本風に localize して欲しかったなぁ〜。Imagine は、忌野清志郎という人が日本語にしています。参考までに YouTube のサイトです。

第2位は哀愁のカサブランカ  あまりに日本語が自然

 

 第2位には、オリジナルでは郷ひろみがカバーして歌った『哀愁のカサブランカ』です。管理人は、これが外国の歌だとは、ずいぶん長い間知りませんでした。日本語があまりにうまく自然にメロディーに乗っているからです。ただ2番の歌詞で「一つの季節の主役さ」というところが不自然だとは思っていました。歌唱力が抜群の竹島宏さん、ここの部分をずっと自然に歌っています。まさに脱帽。さすがと言うほかはありません。この映像も NHK みたいなので、すぐに削除されそうですが・・・・そのときは YouTube でさがしてみてくださいね。一部の芸能事務所や NHK は YouTube にアップされるのを著作権侵害とかいって、親の敵のように血眼になって削りまくっていますが、YouTuber となって人気のある画像を自らアップして、広告料を稼ぎまくればよいのに。そうゆうまっとうな稼ぎは思い浮かばないようですね。

第3位は、ポーレシュカポーレ えっ。軍歌なの?

 かなり古い歌ですが、原曲は何と旧ソ連の赤軍の歌だとかです。そんな軍歌の原曲とは全く関係ない、美しいロシア民謡風の歌詞は見事としかいいようがありません。バックコーラスは原曲を彷彿とさせるようにかなり威勢がいいですね。この歌は、軍歌としてではなくロシア民謡として日本に定着しているところがすごいですね〜。

第4位は、サンライズ•サンセット

 『屋根の上のバイオリン弾き』というミュージカルの中から Sunrise Sunset です。ミュージカルは物語の中で歌われるので、そう勝手な歌詞が付けられないという大きな制約があります。この曲も原曲の歌詞をそのまま訳したような内容になっています。

 森繁久弥という俳優さんは、アイザック•スターン(ウクライナ生まれのユダヤ系)という当時の大バイオリニストが森繁さんの『屋根の上のバイオリン弾き』の舞台を見て感激し、楽屋を訪ね、あなたにはユダヤ人の血が流れていると賞賛されたそうです。そして、あなたのためにバイオリンを演奏したいと申し出ましたが、当の森繁さんご本人は、「誰が来たかそのときは知らなかった」ので断った、というエピソードが残っています。もちろん、後で文字通り上や下への大騒ぎになったとか。

第5位は、Sukiyaki Song です。

 アメリカでラジオを聞きながらドライブしていたとき、坂本九の「上を向いて歩こう」が日本語で流れてきてビックリしたことがあります。一瞬ハンドルを握ってることを忘れたくらい衝撃的でした。よく考えてみれば、Oldies の局に tune してあったので、昔のヒット曲が流れるのは当然なのですが。

 これは、いわば、逆ローカライズですね。アメリカの人たちは、よほど、この Sukiyaki Song が好きらしく、坂本九のオリジナルヒット以来、何度もいろいろなアーティストが、この英訳された歌をレコーディングしています。英語版がヒットしたという話は聞いたことがありません。多分、皆さんこの歌を歌いたいのでしょう。しかし、日本語で、歌の内容も分からないのによく大ヒットしたものです。 Godzilla と同じように完全にアメリカに定着していますね。むしろ、アメリカの物みたいな印象ですね。
英語の歌詞は、sukiyaki lyrics でググって下さい。ただし、怪しげなサイトが多いので、むやみに歌詞をダウンロードしたりしないよう気をつけて下さいね。

 外国の歌を比較的多く歌っていた人に忌野清志郎さんがいました。そのほか、外国でヒットした曲を日本語化した歌もいろいろあるようですが、日本語の持つ基本的なリズム、5-7-5、などとうまく適合できなかった詩もあるようです。ローカライズというのは、自動車だけでなく、かなりの人手がかかって費用対効果をだすのが結構大変そうです。

そして • • • ワケありのスコットランド民謡

 私たちがよく知っていて、しかも、ローカライズされた外国の歌だったと気づかずに歌っている歌に、スコットランド民謡があります。たくさんの歌がありますね。故郷の空や蛍の光 などです。馴染み深いだけではなく、たいていの人は、実はスコットランド民謡だったとは、長い間知らずに歌っていたことでしょう。アニーロリーとかダニーボーイ、ロッホローモンドなどとカタカナのタイトルであれば、外国の歌だと分かりますが、日本語で、それもかなり凝ったタイトルがついていると、日本の歌だと思ってしまいますよね。日本語の歌詞が自然にメロディーに沿っていることも大きいと思います。なぜスコットランド民謡が日本の唱歌として定着したのでしょうか。これには西洋音楽を取り入れようとした明治政府と関わりがあります。明治政府に依頼された人の苦労と工夫があったようです。明治政府で唱歌の導入に尽力した人の話はここを参考にして下さい

 日本の江戸時代までの歌には、多くの場合、西洋音楽の音階でいうところのファとシの音がないそうです。ここをぜひ見て下さいね。そこで、日本での音楽教育がやりやすいような、日本人が歌いやすいファとシの音がない歌を唱歌として採用しようとしたようです。世界の歌からこうした傾向のある歌をさがしたところ、スコットランド民謡にあたったとのことです。現代の日本の歌でも、演歌は当然この傾向が強いですが、上を向いて歩こう とか といった歌もファとシの音がないとのことです。今ではそんな明治の頃の話はすっかり忘れられていますが、西洋音楽を取り入れる頃のローカライズにはこうした苦労もあったようです。

 ここに紹介した 蛍の光 の原曲 Auld Lang Syne は、Scotland の古い言葉と現代英語訳がでています。タイトルの Auld Lang Syne は、現代の英語では old long since だそうです。意味からすると long, long ago とか times gone by,  days gone by だそうです。Should で始まる文は、If ••• (should) となることがありますが、ここでは、Old friend should be forgotten という文の疑問形ですから、旧友を忘れてはならないでしょう、というような意味でしょう。
英語圏では大晦日の真夜中12時前後にみんなが歌いだしますね。ここではお祭りです。

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