またまた大げさなタイトルをつけてしまいました。このブログは読まれることを期待していないので、勝手気ままにやっています。例によって、ごくごく個人的な戯れ言です。音楽と言語というのは、私などがあえていうまでもなく、深い関わりがあるような気がします。伝統的な日本の音楽がファとシを持たない(ヨナ抜き)五音階であったのも、五七で区切ることが多いのも、私の耳には 日本語としてとても自然なことに聞こえます・・・などと音楽しろうとの管理人が言うまでもなく、多くの音楽に携わる人は言語と音楽は深い関係があると明言しています。でも、ここはオペラ限定といきたいところですが、ミュージカルもでてきます。
あ現在は、外国語のポップソングといえば、聞こえてくるのは、たいていは英語です。昔に戻ると、ドイツ語、カンツッォーネのイタリア語、シャンソンとくればフランス語などいろいろありました。ラテン音楽がはやった頃はスペイン語。時にはギリシャ語やトルコ語、ヘブライ語などといったヒットソングなどもありました。
さて、ジャンルをクラシックに限定すると、英語で歌われて、たいていの人が知っている曲といえば、ヘンデル Georg Friedrich Händel (1685 – 1759 日本では江戸時代) のハレルヤ コーラスがあります。これは作品全体が英語で歌われています。今回は少々長いので、ここでやめるように警告しておきます。
オペラといえばイタリア語とドイツ語が多い
ヘンデルは元々ドイツ人で、3年ほどイタリアにいたりして、本人が満足する職に就けたのはイギリスだったようです。ヘンデルはたくさんのオペラを書いていたようですが、英語のものはありません。当時、オペラといえばイタリア語で書くのが通例だったようで、モーツアルトもオペラとしてはイタリア語を使っています(例:フィガロの結婚、ドンジョバンニ)。モーツアルトのポピュラーな作品である「魔笛」は、ドイツ語で歌われるためか、モーツアルトもオペラとはいわず、singspiel (歌芝居)と遠慮していたように見受けられます。台詞だけの部分もあり、現代のミュージカルに近い形式です。今は「魔笛」もオペラとして分類されています。
クラシック音楽の世界、特にオペラなどはイタリア語やドイツ語のものが多く、有名なものではフランス語(カルメン)、ロシア語(ボリスゴドノフ)のものもあります。英語のものは少ないようです。英語のオペラといえばイギリスのブリテン Benjamin Britten(1913 – 1976)の作品がいくつかありますが、日本で上演される機会はというと、イタリア語のオペラほどにはないようです。イギリスにはその他、「威風堂々」で有名な Sir Edward Elgar (1857 – 1934)がいます。英語のオペラも残しているようですが、上演される機会はかなり少ないようです。英語で上演される機会が比較的多いと思われるものに Sullivan and Gilbert の The Mikado (1885)があります。これはオペレッタあるいは comic opera として分類されているようです。この作品のはじめの方で歌われる We are the gentlemen of Japan とはじまる曲を聴くと、イタリア オペラとは明らかに違う雰囲気です。私には、むしろミュージカルといった雰囲気に聞こえます。(日本文化をバカにしているなどと怒りませんように!このオペレッタが作られた当時、日本の認識といったらこの程度だったのだと許しましょう。)
ミューカルといえばまず英語
逆に現代では、ミュージカル作品となると圧倒的に英語です。イタリア語やドイツ語が原作のミュージカルもあるとは思いますが、世界的にヒットしたものは見当たりません。どうも英語はオペラよりミュージカルに向いているような気がしています。英語のミュージカルのヒット作は、各国語に訳されて世界中で上演されています。
英語でオペラチックな作品というと、バーンスタイン Leonard Bernstein (1918 – 1990)のカンディード (Candide)があります。話の内容はペールギュントなどと似ていて、主人公が世界をあちこちして、人生の大切なものを探し当てるという話です。この作品の中には、 Glitter and be gay というすごい歌もあります。これはイタリア オペラのような雰囲気を持っています。難しい歌として多くの歌手が挑戦するようです。高い音を要求されるというだけでなく、歌の最後では正確な音が出せるかどうかも問われるようです。
カンディードの舞台公演を見たことがあります。すごい歌がライブで聴けると期待していきました。座席も予算の範囲内でなるべくステージに近いところをとりました。序曲が始まって期待が大いに高まりました。しかし、この時は主演女優の歌が全くの不調で、全額返せといいたいほどの失望するできでした。舞台というのは、上手も下手も丸見えなので出演する方も怖いのでしょうね。 Candide の中には、他にもオペラらしい曲もありますが(例えば I am easily assimilated)、私には英語という言語だけのせいだけではなく、オペラというよりも、どうしてもミュージカルのように聞こえます。ミュージカルとオペラの違いはネットで調べられるとおもいます。
(また!) West Side Story の登場
Candide の人気という点からは、同じ作曲者の West Side Story のように成功したとはいえないようです。Candide は、ミュージカルとして上演されたり、映画にもなっています。バーンスタインはこの作品が特に気に入っていて、靴の中の小さな石ころとして、どうにも気になって最後まで見捨てなかったようです。カンディード序曲はクラシックのオーケストラによって演奏される機会が比較的多いようです。
バーンスタインは、主にクラシック畑にいた人なのでミュージカルといえどもこだわったようで、West Side Story では重唱もあります。オペラと違って、ミュージカルは、特に舞台上演では、本格的な歌手を揃えることが難しいからかもしれませんが、重唱というのは少ないですね。West Side Story では、曲の一部分ではありますが、 I feel pretty, A boy like that – I have a love などが重唱の例です(スペイン語訛りに注意)。映画からのシーンのものは、マリア役の歌は主演のナタリー・ウッドではありません。歌唱力のある人が裏で歌ってます。マリアは歌のところは口パクというわけです。舞台公演では主演の二人(トニーとマリア)は歌唱力のある人が演じるようです。主演の二人は、この作品の見せ場でもある足を高く上げたり、跳んだりはねたりといったダンスはしません。歌唱力最優先というわけです。
あミュージカルといえども演技力が大事と考える演出家もいます。そうした演出家の舞台を一度見たことがあります。残念なことに、出てくる俳優さん全部、高い音は裏声そのままで、非常に聞きづらく、主演女優(有名な俳優さん)も歌があまりよくなくて、ファルセットというにはお粗末すぎていました。私の個人的な感想ではありますが、歌のまずさが深く印象に残り、期待したような舞台ではありませんでした。右は West Side Story 舞台の CM ビデオです。
現代は英語が中心なのかもしれません
英語で書かれたオペラは存在するものの、カルメン(フランス語)や蝶々夫人、椿姫、ラ・ボエームといったイタリア語のオペラのような、超ポピュラーな作品は少ないようです。何か言語と関係あるような気がして書いてみました。単に人気が出るような英語のオペラを作曲する人がまだ現れていないのかもしれません。21世紀の今頃、何語であろうと、オペラなんか書くよりミュージカルの時代なのでしょう。
古い話ですが、スエーデンのポップグループ ABBAは、ヨーロッパそして世界で活躍するため英語で作品を作り、多くのヒット曲を世に出しました。当時アメリカでは、ヨーロッパほどの圧倒的な人気はなかったようでした。理由は、英語の native には、ABBAの歌詞は少し単純だと聞きました。英語 native でない私には分かりませんでしたが、当時はまだまだビートルズの影響もかなり強く、なんといっても John Lennon ような作詞家として大御所中の大御所のような人がいましたから、 native の大御所と比べられたら困りますよね。それから何年かして、 ABBA の歌を集めたミュージカルができました。Mamma Mia なのはすぐ分かったとおもいます。ブロードウェーの舞台とポーランドで上演したイタリア風の舞台を紹介しておきます。それにしても、イタリア風バージョンは見事にイタリアになっていますね。例えば、黒ずくめの寡婦がいたり、主人公がよろけそうになると若い男性が駆け寄って支えたりして、いかにもレディ ファーストの国らしい演出ですね。Mamma Mia は、映画にもなっていますが舞台は活きいきしていて楽しそうです。きっと、この舞台公演をオリジナル言語である英語で見たいと思うことでしょう。