たかが paper されど paper といった話です。紙を持っていますか?というつもりで Do you have a paper? とネイティブに質問すると、まず、「新聞持ってる?」ととられるか、「えっ?何のこと?」ととられるかもしれません。 Do you have a paper? は、文法的に間違いといえるかどうか難しいところですが、ネイティブに通じるように言うには Do you have a piece of paper あるいは a sheet of paper と言う必要があるでしょうね。これでも、正しく通じるかどうかはそのときのシチュエーションによります。
メモ用紙あります?
自分がメモにする紙がなくて、ネイティブの人に私がもらえるような紙を持っているかどうか質問するときは、日本語なら「紙もってる?」で済むのですが、英語ではこんな風に言わないといけないようです ” Do you have an extra piece of paper?” または “Do you have an extra (piece of) memo pad?” 余分なメモ用紙を一枚持ってますか、と言わなけりゃならないようなんです。日本語からすると、めんどくさい言い回しですねー。でも、先方さんに通じるためには仕方ないですね。
ティッシュペーパー
同じ紙でも、ティッシュペーパーとなると、英語で書けば、tissue paper ですが、これではなかなか通じにくいと思いますよ。なぜかというと、ふつうは Kleenex と言うからです。クリネックスとは固有の商品名ですが、ティッシュペーパーであればクリネックスでなくてもそうよぶようです。たぶん、Kleenex が、最初にティッシュペーパーを生活に浸透させたからではないでしょうか。日本でも、ちょっと前までは宅配便のことを、みんな宅急便なんて言ってませんでした?宅急便はヤマト運輸が提供する固有の商品名というかサービス名ですよね。というわけで、ティッシュペーパーのことも、英語ではメーカーや商品名に関わりなく Kleenex と言うようです。これはアメリカやカナダだけではなく、おそらく、英語圏ではそうかもしれません。
紙といえば
ところで、紙と言えば、忘れてならないものがあります。「うっ。紙がない。」という場面ですね。これは困りますよねー。英語でも toilet paper なのですが、uncountable ですね。ただ、このような用途の紙は、英語では toilet tissue とも言うようです。なぜと聞かれても困るのですが、そうなんです。突然ですが、 tissue は薄い膜状のものを一般にそう指します。DNA 鑑定で口中の粘膜を取るなどというときの粘膜も tissue です。 toilet paper か toilet tissue か、どちらも同じ物を指すので、気にしないで好きな方を使えば OK なんでしょう。英語では同じ物を別の言い方をする例は、他にもあるでしょう。特に、イギリスとアメリカではいろいろあります。例えば、自動車のトラックをイギリスでは lorry アメリカでは truck などなど。アメリカでも場所により toilet tissue は使われていますが、この言葉は、オンライン辞書によると、Oxford 辞書にはありますが、Webster 辞書では記載がないようです。また、商品名としては、toilet という名詞はさけて bathroom tissue といったように、きれいに逃げる物もあります。なぜ toilet を避けるかというと、次の話と多少関係あるかも。
ついでにトイレの話
ついでに、北米で toilet と言えば、一義的には便器を指します。なので、日本語直訳で Where is a toilet? でも、ちゃんと教えていただけます。質問した本人は「トイレはどこですか」と聞いたつもりでも、聞かれた方は「便器はどこ」と、とるかもしれませんね。皆様よくご存じのように、通常、英語でトイレのことは a bathroom や washroom ですよね。やはり「便器はどこ?」とは聞き難いらしく、風呂場なんてきれいに逃げるんでしょうか。イギリスでは toilet に便所という意味もあるようで、世界の広い範囲で使用される英語のこと、場所が変わると意味がすこし変わることもあるんですね。
あそれからさらに、トイレのことを powder room と言うこともありますが、これは主に、女性用のトイレです。男性がトイレでパウダーをはたいているのは、あまり、一般的な光景とはいえないからでしょうか。男性用トイレを示す絵とともに powder room などと書かれてあると、ネイティブが日本を旅行しているときに目撃して、思わずニヤニヤ笑いを誘うようです。飛行機や列車、バスなどの乗り物でよく見かけるのが、lavatory ですね。
されど paper
paper には、その他にも論文や報告書の意味もあることはよく知られているところです。paper 単体では紙よりも新聞という意味でとられることが多いようです。しかし、慣れないと a piece of paper というのは、なかなか、出てこないですねー。まして、 an extra piece of paper なんて、メモ用紙一枚もらうのに大変ですね。慣れですね。慣れ。これにつきます。