この言葉から想像されるのは、それは私の線、私の回線とかですが、それは私の台詞という意味の時もあります。自分の言いたかったことを他の人が言った場合や、その人の意見に賛同するときなどですが、台詞の意味を指すことからも、元々は演劇の世界からきた表現かもしれません。「それは俺の台詞だ」と言うときは、 “Hey, that’s my line.” というパターンが多いようです。使用例は、下記の動画です。見ておわかりのように、人気アニメ名探偵コナンです。画面の下には大変によくできている英訳が表示されます。
「野宿なんて嫌よ No way. No way.」、でも、二人で寄り添って寝れば寒さもしのげるという話をしているときに、「変なことするなよ」と言うと、「それは私の台詞よ」と女の子が叫びます。アニメは会話体で進みますし、日本のものなので会話の状況もよく理解できると思います。こうゆう状況ではこうゆう表現をするんだと、ドンピシャで理解できます。私個人としてはですが、生きた英語字幕付きのアニメは、英会話のすばらしい教材だと思っています。ということで、英会話の話 ・・・・ ではなく、学芸会での舞台の話です。
Hey, that’s my line. の that は、話し相手が直前に言った言葉の全体を指しますよね。また、自分も同じ意見だというような賛意を示すときは、That’s my line too (または as well) などもありですが、たいていは、「それは俺の台詞だろうが」という意味で使用するようです。英語で台詞というと、dialogue と言う言葉がありますが、こちらは演劇や映画の中の会話を指しますし、(特に政治的な)議論をしているときの話の内容を指したりします。ですから、That’s my dialogue. では、それは俺の言い分、という意味では通じないかもしれません。
あ日本の漫画やアニメは多くの作品が英訳されています。英語の小説や雑誌のコーナーがあるような、大きな書店には置いてあります。漫画やアニメは生きた日本語ですから、英訳も生きた英語があてられています。英会話で先生と話しているだけでは不足するような、実際の状況で使用する表現などは、アニメや漫画の対訳から学ぶのも一興かも。
台詞は共演する相手次第
あまり英語とは関係ない話ですが、高校での授業で Marty という映画の一部を教室で演じるというのがありました。授業のカリキュラムとしては Literature Drama Poetry などがあり、これもその一つでした。
あ私は、英語で覚えなければならないという重圧に、必死で覚えました。いくつかのグループに分かれて、先生がグループごとにどの部分を演じるか決め、後はグループの中で誰がどれを演じるかを決めました。演じるといっても、国語 ( English ) の授業なので演技の部分は問題ではなく、台詞を暗記させることが目的だったようです。ですから、前もって練習することはありません。いざ、発表当日、各グループが前に出て椅子や机を適当に並べて簡単な舞台を作り、いきなり本番でした。
あこの時に大変な発見をしました。もちろん私は、台詞をしっかりと覚えて、ばっちり準備していましたが、始まってみると、自分でもびっくりするくらいすらすら台詞が出てきました。それは、話の流れや状況が頭に入っていたので、共演する仲間が話し出すと、自然とその場面の会話が出てくるからでした。周りの人が話を上手にリードすると、自然と台詞が出てくるのです。ですから、他の人の台詞を言ったりすることもなく、他の人に Hey! That’s my line. なんて叫ぶこともありませんでした。
私が体験したほんの短い場面からは大きなことは言えないのですが、舞台に立つプロの役者さん達は長い台詞を覚えて演技して、大変だと思いました。まして、端役との場面であっても、共演する相手が下手だと自分の台詞も出てこなくなるかもしれません。時々、主演級の俳優さんが共演者を相手に怒ったりするという記事を週刊誌などで見かけます。実際、舞台を見ていると、時に、端役の人が台詞を忘れていて、上手な人がアドリブを入れていたりすることがありますが、台詞を覚えるというのは本当に大変ですね。
話は更にそれますが、有名な大女優が台詞が女言葉になっていないと、脚本家に台本を投げつけたというエピソードを聞いたことがあります。この女優さんは生真面目で、台本に書かれている内容を尊重して、一語一句覚える人なのでしょう。俳優さんによっては、全体の流れを汲んで自分の言葉でやる人もいるようですが、そのあたりのことは監督や演出家との話し合いなのでしょうかね。ど素人の私が知るよしもありませんが。台詞といえば、昔、森繁久弥という俳優さんが、TV を見ているときは目を瞑ることがあると言っていました。そうすると、その俳優さんの台詞が上手か下手がすぐ分かるそうです。
あ台詞については、私が今まで一番印象に残った俳優さんに、筧(かけい)利夫さんがいます。蜷川演出による Shakespeare 「じゃじゃ馬ならし Taming 」という舞台の主役でした。ものすごく長い台詞をよく聞き取れるほどの早口で演じていました。楽しい舞台でしたが、思い出してみると、よくもあんな長い台詞を早口でと。いまだに驚いています。